映画『キャビン』~ホラー映画愛に比例して面白くなる「お勉強型ホラーコメディ」~
映画『キャビン』(2012)米 95分 原題:THE CABIN IN THE WOODS
概要
テレビシリーズ『LOST』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』の脚本家ドリュー・ゴダードが脚本監督。『アベンジャーズ』のオタク監督ジョス・ウェドンが共同脚本を手がけた、コメディーホラー映画。
『LOST』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』を観た人なら「らしい」と思う、実験的でビックリが詰まった映画でした。
タイトルにある通り、この映画は構造が変わっていてとてもユニークな作りになっています。ホラー映画に出てくるお約束の場面を多様して「なんか観たことあるぞ!」と「ホラー映画あるある」がご褒美のようにでてくる、メタ構造のコメディホラーになっています。まず男女5人が山小屋にバカンスに行く所から物語が始まる...この時点で私が大好きな映画なのは確定しているんだけど、その山小屋は実は全て作られたセットで「謎の組織」が誘導し、ホラー映画的な演出をしていたのだった!
と、ひとまずあらすじは置いておいて。
ホラー映画のお約束と言えば例えばこういったやつ
ドアの方から急に物音が…おそるおそる近づくと…そこには...!!
「なんだ猫か…」ホッ
物音の正体は猫で、不穏な音楽も止んでホッとしたその瞬間...
殺人鬼がバァーーンッ!!はいびっくりー!
通称:なんだ猫か
みたいなやつである。こういった映画のお約束を「CLICHÉ (クリシェー) 」と言い、この映画は、メタ構造になっていて主人公達がホラー映画について語りだす『スクリーム』(1996)と違い、主人公達をホラー映画の予定調和に誘導する「謎の組織」が、観ている私たちの間にいて、主人公達をモニタリングし、遠隔的に誘導している。という訳のわからない構造になっている。
ジム・キャリーが主演の『トゥルーマン・ショー』(1998)みたいな感じがわかりやすい。
この「謎の組織」のおかげで、ホラー映画が詳しくない人やどんな人が見ても楽しめる映画になっている。
以下のようなやりとりで、ホラー映画的な予定調和へと誘導されていく。
筋肉「よしみんなで一緒にいたほうが安全だ」
一同「そうだね」
謎の組織「一緒にいたら安全だからだめだ!馬鹿になるガスをだせーっ!」
馬鹿になった筋肉「いや、やっぱりバラバラになった方がいい!みんなそれぞれの部屋にいくんだ!」
一同「え!あーうん、わかった!」
ってな感じで誘導されていく。これもホラー映画やサスペンス映画であるあるのクリシェーだ。一人で行動したやつから死んでいく。「もういい!こんな所、私はでていくッ!」と飛び出したやつは大概死んでしまう。映画を観てるこっちは昔からいつも思う「みんなで一緒の部屋にいれば殺人は起こらないし、対策できそうじゃん!」と、「謎の組織」もみんなで一緒にいられるのは困るので、ホラー映画的な予定調和の方へと誘導していく。
ざっくりあらすじ
週末の休暇を利用して、大学生5人組が湖のある山小屋へ
山小屋で不気味な地下室をみつけ、そこにあった怪しい本に書かれた呪文を唱えてしまい。死者が蘇る!まるで『死霊のはらわた』のようなストーリーだが、ここで謎の組織が登場、山小屋自体も全てセットで作られており、謎の組織は彼らをホラー映画をなぞって生贄に捧げようとしている事が分かる。
謎の組織の目的は―若者達は生きて脱出できるのか!
謎の組織の目的とかそこらへんは大して問題ではないです。(大事ですが、私は結構そこはどうでもよかった)
野暮な事いうより、コーラとお菓子をお供に爆笑しながら楽しむ感じでいいと思います。
ざっくり解説と楽しみ方(ネタバレ含む)
この映画は80年代~90年代に流行ったスラッシャー映画やホラー映画を多くオマージュとしていて。原題からも分かるようにサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』(1981)がメインになっています。『死霊のはらわた』の宣伝用に作られた短編映画の名前が『ウィズイン・ザ・ウッズ』(Within the Woods)という名前だったのでそこからのタイトルオマージュがあったんだと思います。
山小屋についてから、急に地下室の扉が開きます。
入らなければよいのに怪しい地下室へと五人は向かいます。結果、呪いの呪文を唱えて死霊を復活させてしまうのですが、この地下室は怪しいアイテムがなんと百個ぐらいあります。
どれを触ってもやばい事になりそうな、不吉なアイテムで溢れています。ここの映し方もすごく面白いです。観客と「謎の組織」がどれになるんだーっとわくわくして観てます。
あえてホラー映画を観てない人で予習するのであれば『死霊のはらわた』は確実に見ておいたほうが良いと私は思います。山小屋で地下室があってーと、やはり引き当てたストーリーもそうですし、メインは『死霊のはらわた』でしょう。
他にもカメラワークなどはかなり寄せてきているので、みていてニヤリとしてしまうでしょう。
ってかそのまんまですね。最高です!
冒頭の汚いガソリンスタンドで怪しい老人がこれ以上進む事に警告をする!これが出てきた所もニヤニヤしてしまいました。
これは『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』(2010)でも使われた、ホラー映画にあるあるのオマージュですね。
生贄に選ばれる若者はホラー映画であるあるの設定になっています。
ジュールズ:「淫乱」お色気担当:大体がホットパンツで筋肉男とセックスしていると必ず最初に死ぬ
カート:「戦士」筋肉担当:内輪でもめる時にこいつが原因になることがおおい頭が悪い ジョック(jock)が分かりやすいです。アメフト部のやつらです
ホールデン:「学者」知性があっていいやつ:最後まで生き残りヒロインといい感じになったりする事も! これはギーク(geek)とかの位置付けになるのかな。ホラー映画、パニック映画だとオタク枠は作品に寄っては生き残りやすいです。
マーティ:「愚者」ハッパやってるハッピー野郎:最初の方に殺人鬼に間違えて話しかけたりして殺される。 ストーナー(stoner)ですね。マリファナが決まってる時『stoned』(石になってる)って言うやつです。そこからきてます。
デイナ:「処女」通称ラストガール:処女で赤毛のまじめな子は生き残るか最後になる
この呼称は映画側が決めた物ですが、大体こんなメンバーでホラー映画は進行します。
ルールとして最初に死ぬのは「淫乱」と決まっており、「処女」は生き残るか最後に死ぬか。
これもホラー映画のクリシェーで大体セックスしてる馬鹿っぽいカップルが最初の餌食になったりするあれです。
この映画、ここで面白いのが無理やり、その役を任されると言う設定と意外と設定通りに行かないところが番狂わせとして用意してあり、そこがギャグとストーリーの捻りになっていて面白かったです。
例えば、「戦士」カートくん実は性格も大人しく成績も優秀な優等生ですが、ホラー映画の「戦士」役になってもらう為、居丈高な態度になり頭も悪くなるガスで性格がよくあるホラー映画にでてくる「勝手な人」になっているんです。
他にも「淫乱」ジュールズちゃんも露出が増えセックスアピールが過度でいつもと違くない?とデイナが突っ込むシーンがあります。
馬鹿になってもらわないと、ホラー映画的じゃないから困るんです!!
大体みんな死にます。カートくんが勇敢にジャンプする所は音楽まで壮大になり、盛大に散ります。最後に「処女」デイナちゃんが生き残り、「謎の組織」は作戦成功にお祝いモードとなりますが、二番目に殺されたと思っていた「愚者」マーティが実は生きていた!と言う意外な結果から一気に舞台は「謎の組織」の内部へと進みます。
マーティはハッパを吸い過ぎていた為、組織にコントロールされず監視されているカメラに気がついたり、山小屋セットの欠陥を見つけます。ハッパを吸った方がコントロールされないなんて、反骨的で面白いと思いました。『パラサイト』(1998)でもドラッグをやってる若者だから危機を脱する事ができたってのもありますし、もしかしたらクリシェーなのかな?
実は、マーティが襲われる瞬間はカメラが暗転しており、引っ張られて死ぬ場面は写ってないんですよね。
これも暗転した場合は実は無事で、ストーリーに後々係わってくるっていうクリシェーだと思います。
ただすぐ死にそうなやつが最後まで残るってのも番狂わせ的で面白いところです。
これも散々お約束をやったので、生きてくる演出だと思います。
他にも一緒に行動すればいいのにバラバラに行動したり、武器を使ったあとずっと持ってればいいのに落としたり、もちろん携帯は圏外だったり。
と分かりやすく強調されてお約束がでてくるので、「あーあるある!」と楽しめます。
武器をポロって落とすの微弱な電気が流れてたからなんですね!!
怒涛の後半はお祭り騒ぎ!とまとめ
後半はお祭りです。
たくさんホラー映画のキャラクターが出てきます。FEARってゲームのキャラクターまで登場したので、ビックリしました。ゲームからはL4Dのクリーチャーも参戦しているようです。
まったく気がつきませんでしたが。
とにかく危険絶対押すな!的なボタンがあります。
それを押したら、見事阿鼻叫喚をきわめます。
怪物大集合です!
ごちゃごちゃーとやっておしまい!
まとめが雑になりましたが、好きな映画です!終わり方も含めて!
ホラー映画好きならかならず楽しめる愛おしい映画ですね!
もちろんホラーを観ない人も楽しんでもらえると思います!そのぐらい親切です。
ホラー映画っていいですね!
あとホラー映画は女の子がかわいくないと!デイナちゃんはかなりかわいいです。
着替えを覗くかホールデンは少し迷うが、結果止めるので好感を持てます。と同時にクソが....と
デイナ役のクリステン・コノリーは大学生の役をやっていますが、当時で30歳
。30歳の大学生は萌えます。
— なんかいいんです(仮) (@nankaiindesu) 2020年5月10日
押すな pic.twitter.com/44KbSdTOtT
— なんかいいんです(仮) (@nankaiindesu) 2020年5月10日